【産後うつ】第13回 相談するのが怖いお母さんへ

13 相談するのが怖いお母さんへ

第13回 相談するのが怖いお母さんへ

産後のつらさを抱えているお母さんの中には、「相談した方がいいのかもしれない」と思いながら、それでもなかなか言い出せない方がいます。

赤ちゃんがかわいいと思えない瞬間がある。
夜が来るのが怖い。
理由もなく涙が出る。
夫や家族にイライラしてしまう。
赤ちゃんの泣き声に追い詰められる。
一人になりたいと思う。
でも、そんなことを言ったら母親失格だと思われるかもしれない。

そう感じて、誰にも言えないまま我慢してしまう方がいます。

産後うつで苦しいお母さんにとって、相談することは簡単ではありません。

「大げさだと思われたらどうしよう」
「赤ちゃんをちゃんと育てられない母親だと思われたらどうしよう」
「家族に迷惑をかけたくない」
「病院に行くほどではない気がする」
「何を話せばいいか分からない」
「泣いてしまいそうで怖い」
「弱い母親だと思われたくない」

こうした気持ちは、とても自然なものです。

でも、まず知っておいてほしいことがあります。

相談することは、負けではありません。
母親失格でもありません。
赤ちゃんへの愛情がない証拠でもありません。

むしろ、今の状態に気づき、助けを求めることは、お母さん自身と赤ちゃんを守るための大切な行動です。

今回は、産後うつで相談するのが怖いお母さんに向けて、「なぜ相談しにくいのか」「どこに相談すればよいのか」「どんなふうに伝えればよいのか」を、やさしく整理していきます。


産後うつは、相談しにくい状態そのものです

産後うつや産後不安があると、心の中では「助けてほしい」と思っていても、実際には助けを求めにくくなることがあります。

これは、本人の意志が弱いからではありません。

産後うつでは、自分を責める気持ちが強くなりやすいからです。

「私が悪い」
「もっと頑張らないと」
「他のお母さんはできている」
「赤ちゃんに申し訳ない」
「こんなことを考える私はおかしい」

このような考えが頭の中をぐるぐる回ると、相談すること自体にも罪悪感が出てきます。

さらに、気力が落ちていると、電話をかける、予約を取る、外出する、状況を説明するという行動そのものが大きな負担になります。

つまり、産後うつは「相談しなければいけない状態」でありながら、「相談する力が残りにくい状態」でもあるのです。

だからこそ、周囲の家族が気づくことも大切ですし、相談のハードルをできるだけ下げることも大切です。


相談をためらう理由は、あなただけの問題ではありません

産後うつの相談をためらうお母さんは少なくありません。

研究でも、産後うつの支援につながるうえで、恥の感覚、偏見への不安、母親として判断される怖さ、症状についての知識不足、支援先の分かりにくさ、時間や費用、育児で外出しにくいことなどが障壁になると報告されています。

つまり、「相談できない」のは、お母さん一人の問題ではありません。

社会の中に、「母親は赤ちゃんが生まれたら幸せなはず」「母親なら頑張れるはず」「弱音を吐くのはよくない」という空気があると、お母さんはますます本音を隠してしまいます。

でも、産後の心と体は本当に大きく変化しています。

妊娠、出産、授乳、睡眠不足、体力低下、ホルモン変化、栄養不足、育児への責任感、孤独感。これらが重なれば、心が支えきれなくなることはあります。

だから、相談できない自分を責めないでください。

「相談するのが怖い」と感じること自体が、すでに支援が必要なサインかもしれません。


何を相談すればいいか分からないとき

相談するのが怖い理由の一つに、「何を話せばいいか分からない」というものがあります。

つらいのに、言葉にならない。
何から話せばいいのか分からない。
話している途中で泣いてしまいそう。
自分でも、体がしんどいのか、心がしんどいのか分からない。

そんなときは、きれいに説明しようとしなくて大丈夫です。

最初は、次のような言葉だけでも十分です。

・産後から気分が落ち込んでいます
・涙が出る日が続いています
・眠れません
・不安が強いです
・赤ちゃんの泣き声がつらいです
・自分を責めてしまいます
・食事が取れません
・育児が怖く感じます
・消えてしまいたいと思うことがあります
・赤ちゃんを傷つけてしまいそうで怖いです

特に、「消えてしまいたい」「自分を傷つけたい」「赤ちゃんを傷つけてしまいそうで怖い」という気持ちがある場合は、必ず伝えてください。

それは責められるための言葉ではありません。

安全を守るために必要な、とても大切な情報です。


最初の相談先は、一つでなくて大丈夫です

産後うつかもしれないと思ったとき、どこに相談すればよいのか分からない方も多いと思います。

相談先は、一つだけではありません。

・産婦人科
・心療内科
・精神科
・助産師
・保健師
・地域の子育て支援窓口
・小児科
・かかりつけ医
・信頼できる家族や友人

どこから始めても大丈夫です。

「いきなり精神科は怖い」と感じる方は、まず産婦人科や助産師、保健師に相談するのも一つです。地域の保健師さんは、産後のお母さんと赤ちゃんの生活を支える相談先として重要です。

また、赤ちゃんの健診や予防接種のタイミングで、小児科や地域の相談窓口につながることもあります。

大切なのは、「一人で抱え続けないこと」です。

相談先が違っていても、そこから必要な支援につながれることがあります。最初から完璧な相談先を選ばなければいけないわけではありません。


医療機関に相談するのが怖い理由

産後うつで医療機関に相談することに、強い抵抗を感じる方もいます。

「薬を出されるのが怖い」
「授乳中だから薬は飲めないのでは」
「精神科に行ったら大ごとになるのでは」
「診断名がつくのが怖い」
「赤ちゃんと離されるのでは」
「周りに知られたらどうしよう」

こうした不安を持つことは自然です。

ただ、医療機関に相談することは、必ず薬を飲むという意味ではありません。状態によって、心理的サポート、生活環境の調整、休息の確保、家族支援、必要に応じた薬物療法など、いくつかの選択肢があります。

授乳中の薬についても、自己判断で怖がって我慢するより、医師に相談することが大切です。授乳との兼ね合いを含めて、リスクとメリットを一緒に考えていく必要があります。

何より、強い産後うつを放置することにもリスクがあります。

相談することは、すぐに大きな治療を始めることではなく、「今の状態を専門家と一緒に整理すること」です。


鍼灸院や整体院に相談してよいこと、医療につなぐべきこと

神戸市北区・三田市周辺で産後ケアを行う中で、当院にも「病院に行くほどではない気がするけれど、しんどい」という方が相談されることがあります。

鍼灸院としてできることはあります。

たとえば、首肩の緊張、頭痛、背中のこわばり、呼吸の浅さ、睡眠の浅さ、疲労感、自律神経の過緊張、産後の体の回復のサポートなどです。

また、機能性医学の視点から、睡眠、食事、栄養、血糖、胃腸、便通、生活背景を一緒に整理することもできます。

ただし、産後うつそのものの診断や治療は医療機関の領域です。

次のような場合は、鍼灸や整体だけで様子を見るのではなく、早めに医療機関や地域の相談窓口につながる必要があります。

・気分の落ち込みが強い
・眠れる状況でもまったく眠れない
・食事がほとんど取れない
・自分を傷つけたい気持ちがある
・消えてしまいたいと思う
・赤ちゃんを傷つけてしまいそうで怖い
・現実感がない
・混乱が強い
・幻聴や妄想のような症状がある
・気分が異常に高ぶる

当院では、こうした状態を無理に院だけで抱え込むことはしません。必要な場合には、医療機関や地域の支援につながることを大切にしています。

体のケアと、医療的な支援は対立するものではありません。

どちらも、お母さんと赤ちゃんを守るために必要なものです。


機能性医学的に見る「相談できないほど疲れている状態」

機能性医学では、症状だけではなく、その背景にある体のつながりを見ていきます。

相談する気力が出ないお母さんの体では、次のような負担が重なっていることがあります。

・夜間授乳による睡眠不足
・眠れる状況でも神経が高ぶって眠れない
・食事量の不足
・たんぱく質不足
・鉄不足や貧血の可能性
・血糖の乱れ
・便秘や胃腸の不調
・首こり、肩こり、頭痛
・呼吸の浅さ
・自律神経の過緊張
・ホルモンや甲状腺の変化
・孤独感
・家族に本音を言えない緊張

このような状態では、頭で「相談した方がいい」と分かっていても、動けないことがあります。

だから、「なぜ相談できないの?」と責めるのではなく、「相談する力が残っていないのかもしれない」と考えることが大切です。

家族は、本人に任せきりにせず、一緒に動いてあげてください。

電話番号を調べる。
予約を取る。
受診に付き添う。
赤ちゃんを見ている。
相談内容をメモする。
お母さんが話せないとき、横で補足する。

こうした具体的な支えが、相談への大きな一歩になります。


相談前にメモしておくとよいこと

相談するときは、うまく話せなくても大丈夫です。

ただ、事前に少しメモしておくと、専門家に伝わりやすくなります。

たとえば、次のようなことです。

・出産から何日、何か月たっているか
・いつ頃からつらくなったか
・眠れているか
・食事が取れているか
・涙もろさ、不安、イライラがあるか
・赤ちゃんのお世話がつらく感じるか
・自分を責める気持ちがあるか
・消えたい気持ちがあるか
・自分や赤ちゃんを傷つけそうで怖いか
・動悸、息苦しさ、頭痛、めまいがあるか
・出血、発熱、強い痛みがあるか
・家族のサポート状況
・過去にうつ、不安、パニックなどがあったか
・妊娠中や産後の血液検査で貧血や甲状腺を指摘されたか

全部書けなくても大丈夫です。

一番大切なのは、「今、しんどいです」と伝えることです。


家族にお願いしたいこと

産後のお母さんが「相談したい」と言えないとき、家族の支えはとても重要です。

ただし、「病院に行きなよ」と突き放すだけでは、お母さんはさらに孤独になります。

大切なのは、一緒に動くことです。

・責めずに話を聞く
・「そんなこと思わなくていい」と否定しない
・「一緒に相談しよう」と伝える
・相談先を調べる
・予約の電話を手伝う
・受診に付き添う
・赤ちゃんや上の子を見ておく
・お母さんが寝る時間を作る
・食事と水分を用意する
・「大丈夫そう」に見えても、変化が続くなら軽く見ない

特に、「消えたい」「自分を傷つけたい」「赤ちゃんを傷つけてしまいそうで怖い」という言葉がある場合は、本人任せにしないでください。

安全確保が最優先です。

赤ちゃんを安全な場所に寝かせ、本人を一人にせず、医療機関や地域の相談窓口、緊急時の支援につないでください。

それは大げさではありません。

お母さんと赤ちゃんを守るために必要な対応です。


当院で大切にしている産後ケアの考え方

当院では、産後のお母さんが本音を話しやすい環境を大切にしています。

神戸市北区・三田市周辺で産後ケアを行う中で、「こんなことを言っていいのかな」とためらいながら話される方は少なくありません。

赤ちゃんはかわいいけれど、しんどい。
夫にイライラしてしまう。
一人になりたい。
夜が怖い。
眠れない。
体が痛い。
誰にも分かってもらえない。

こうした言葉を、否定せずに聞くことが大切だと考えています。

当院では、産後ケアに関して女性施術者が対応しています。出産・育児経験があるため、産後の本音を話しやすい環境を整えています。

また、産後の不調を片手間に見るのではなく、機能性医学、栄養、自律神経、女性のライフステージに関する知識を常にアップデートしながら、丁寧にサポートしています。

鍼灸院として、首肩の緊張、背中のこわばり、呼吸の浅さ、頭痛、疲労感、自律神経の過緊張を見ていきます。

同時に、機能性医学の視点から、睡眠、食事、栄養、血糖、胃腸、便通、生活背景も整理します。

ただし、産後うつそのものの診断や治療は医療機関の領域です。必要な場合には、医療機関や地域の相談窓口につながることを大切にしながら、体の回復を支えるサポートを行っています。


すぐに相談してほしいサイン

相談するのが怖いと感じていても、次のような場合は早めに専門機関へつながってください。

・気分の落ち込みが強い
・不安が強くて生活に支障がある
・眠れる状況でもまったく眠れない
・食事がほとんど取れない
・涙が止まらない
・自分を責める言葉が止まらない
・消えてしまいたいと思う
・自分を傷つけたい気持ちがある
・赤ちゃんを傷つけてしまいそうで怖い
・赤ちゃんと二人きりになるのが怖い
・現実感がない
・混乱が強い
・幻聴や妄想のような症状がある
・気分が異常に高ぶる
・家族から見て明らかに様子が違う

このような状態は、「もう少し頑張ろう」と一人で抱える段階ではありません。

産婦人科、心療内科、精神科、保健師、助産師、地域の子育て支援窓口などに相談してください。

緊急性が高い場合は、救急も含めて安全を最優先にしてください。


神戸市北区・三田市周辺で、相談するのが怖いお母さんへ

相談するのが怖い。

その気持ちは、決しておかしなものではありません。

産後のお母さんは、赤ちゃんを守る責任感の中で、自分のつらさを後回しにしがちです。さらに、母親として判断される怖さ、弱音を吐く罪悪感、家族に迷惑をかけたくない気持ちが重なると、相談すること自体がとても大きな壁になります。

でも、相談することは、あなたが弱いという意味ではありません。

お母さんの心と体を守るための一歩です。
そして、赤ちゃんを守ることにもつながります。

神戸市北区・三田市周辺で、産後の気分の落ち込み、不安、眠れなさ、首こり、肩こり、頭痛、疲労感、自律神経の乱れに悩んでいる方は、一人で抱え込まないでください。

うまく説明できなくても大丈夫です。

まずは、「産後からしんどいです」と言葉にするところから始めてください。


参考文献

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Hu Y, et al. Barriers and facilitators of psychological help-seeking behaviors of perinatal depression: A systematic review. Journal of Affective Disorders. 2023.

Huang S, et al. Help-Seeking Intentions for Depression and Associated Factors among Perinatal Women: A Cross-Sectional Study. International Journal of Environmental Research and Public Health. 2023.

Adlington K, Vasquez C, Pearce E, et al. ‘Just snap out of it’ – the experience of loneliness in women with perinatal depression: a Meta-synthesis of qualitative studies. BMC Psychiatry. 2023.

American College of Obstetricians and Gynecologists. Postpartum Depression.

American College of Obstetricians and Gynecologists. Screening and Diagnosis of Mental Health Conditions During Pregnancy and Postpartum. Clinical Practice Guideline No. 4. 2023.


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