【お腹が張る!SIBOとは】第10回 SIBOをくり返さない整え方

10 SIBOをくり返さない整え方

第10回 SIBOをくり返さない整え方

お腹の張りが少し楽になった。
ガスが減った。
便通も少し落ち着いてきた。
食事を気をつけると、以前より過ごしやすくなった。

けれど、しばらくするとまた張ってくる。
外食をすると悪化する。
忙しくなると便通が乱れる。
腸活を再開すると、またガスが増える。
低FODMAP食をやめると、また元に戻る。

SIBOで悩む方にとって、この「くり返す」という問題はとても大きな悩みです。

SIBOは、日本語では「小腸内細菌増殖症」と呼ばれます。
本来、細菌が多すぎないはずの小腸で細菌が増え、食べ物が発酵しやすくなることで、お腹の張り、ガス、腹痛、下痢、便秘などが起こることがあります。

SIBOという言葉を知ると、どうしても「菌を減らせばいい」と考えたくなります。
もちろん、医療機関では抗菌薬などが使われることがありますし、必要な治療を受けることは大切です。

ただ、SIBOをくり返さないためには、菌だけを見るのでは足りないことがあります。

なぜ、小腸で菌が増えやすくなったのか。
なぜ、食べ物が小腸で発酵しやすくなっているのか。
なぜ、腸の流れが悪くなっているのか。
なぜ、腸活で悪化するのか。
なぜ、低FODMAP食をやめると戻るのか。

ここを見ないまま、菌を減らすことだけをくり返しても、また同じ状態に戻ってしまうことがあります。

神戸市北区や三田市周辺でも、「腸活を頑張っているのに張る」「食事制限をしている間だけ楽」「何を食べればよいのか分からない」というご相談があります。

もみの木治療院では、鍼灸整骨院として体の緊張や自律神経の状態も見ながら、機能性医学的な視点で、SIBOを「菌だけの問題」としてではなく、胃腸が働きにくくなった背景から整理していきます。


SIBOをくり返す人に必要なのは、原因を分けて見ること

SIBOをくり返す方では、ひとつの原因だけで説明できないことが多くあります。

腸の動きが弱い。
胃酸が少ない。
胆汁や膵液の働きが弱い。
便秘が強い。
過去の手術や癒着がある。
食あたり後から腸が過敏になった。
ストレスで胃腸が止まりやすい。
睡眠不足が続いている。
食事制限が長く、栄養不足になっている。

このような要素が重なると、小腸の中で内容物が停滞しやすくなります。
停滞があると、細菌が増えやすくなり、発酵やガスが起こりやすくなります。

つまり、SIBOをくり返さないためには、「菌をどうするか」だけではなく、「菌が増えにくい環境をどう作るか」が大切です。

川の流れが悪い場所に汚れがたまりやすいように、腸の流れが悪いと、菌や未消化物もたまりやすくなります。
一度きれいにしても、流れが悪いままなら、また同じ場所にたまりやすくなります。

SIBOでも同じです。
菌を減らすだけでなく、流れる、消化する、吸収する、休む、排出するという胃腸の基本の働きを整えることが大切です。


まず大切なのは、腸の動きです

SIBOをくり返さないために、とても大切なのが小腸の動きです。

小腸には、食事と食事の間に中を掃除するような動きがあります。
この働きによって、食べ物の残りや細菌が小腸にとどまりすぎないようにしています。

ところが、だらだら食べ、夜遅い食事、睡眠不足、ストレス、便秘、自律神経の乱れなどが続くと、この流れが乱れやすくなります。

食事の回数が多すぎる。
常に何かをつまんでいる。
空腹の時間がほとんどない。
夕食が遅い。
寝る直前まで食べている。
朝起きても胃腸が重い。

このような状態では、小腸が休んで掃除する時間が少なくなります。

もちろん、すべての人が長時間の空腹を作ればよいわけではありません。
血糖が不安定な方、妊娠中の方、体力が落ちている方、食事量が少ない方では、無理な空腹時間は合わないことがあります。

ただ、SIBOをくり返す方では、「何を食べるか」だけでなく、「いつ食べるか」「どれくらい間隔をあけるか」も大切です。

胃腸が動くには、リズムが必要です。
食べる時間、休む時間、排出する時間を整えることが、SIBOをくり返さない土台になります。


胃酸・胆汁・膵液を無視しないこと

小腸の環境を整えるには、胃から始まる消化の流れも大切です。

胃酸は、食べ物の消化を助けるだけでなく、口から入ってくる細菌を増やしすぎないための防御にも関係しています。
胆汁は、脂質の消化を助けます。
膵液は、たんぱく質、脂質、炭水化物を分解するために必要な消化酵素を含みます。

これらの働きが弱いと、食べ物が十分に分解されにくくなります。
未消化のものが小腸に残りやすくなると、細菌のエサになり、発酵やガスにつながることがあります。

たんぱく質を食べると重い。
脂っこいものが苦手。
胃もたれしやすい。
食後にすぐ張る。
便がベタつく。
少し食べただけで苦しい。

このような方では、腸だけでなく、胃酸、胆汁、膵液、食べ方、噛む力、食事中の緊張状態まで見直す必要があります。

ただし、自己判断で胃酸を増やそうとしたり、胃薬をやめたりすることはおすすめできません。
胃炎、逆流性食道炎、潰瘍、薬の影響などがある場合、自己流の対策で悪化することがあります。

胃酸を抑える薬を長く飲んでいる方も、自己判断で中止せず、必ず主治医に相談してください。

機能性医学的な視点では、薬を悪者にするのではなく、なぜその薬が必要だったのか、今も必要なのか、胃腸の不調とどう関係するのかを整理することが大切です。


低FODMAP食は、出口を決めて使うこと

SIBOや過敏性腸症候群のような不調では、FODMAPと呼ばれる発酵しやすい糖質を一時的に減らすことで、張りやガスが軽くなる方がいます。

小麦、玉ねぎ、にんにく、豆類、牛乳、りんご、梨、きのこ、プルーン、キシリトール、糖質オフ食品などは、人によってお腹の張りにつながることがあります。

低FODMAP食は、症状を整理するためには役立つことがあります。
しかし、ずっと厳しく続ける食事ではありません。

大切なのは、出口を決めることです。

まず症状が強い時期に、発酵しやすい糖質を一時的に減らす。
お腹の張りやガスが変わるかを見る。
落ち着いたら、少しずつ戻して反応を見る。
自分に合う量と頻度を見つける。
最終的に、食べられる範囲を広げていく。

この流れが大切です。

食事制限を続けすぎると、栄養不足、体力低下、食事への不安につながることがあります。
特に、女性では鉄不足、たんぱく質不足、亜鉛不足、エネルギー不足が重なると、胃腸の回復力そのものが落ちることがあります。

SIBO対策は、食べられないものを増やすことではありません。
安心して食べられる範囲を取り戻すことです。


腸活は、足す前に状態を見ること

SIBOをくり返す方では、腸活で悪化することがあります。

ヨーグルト、納豆、キムチ、甘酒、オリゴ糖、食物繊維、乳酸菌。
これらは、体に合う方にとっては役立つことがあります。

しかし、小腸で細菌が増えやすい状態では、発酵食品や食物繊維がガスの材料になり、張りや腹痛を強くすることがあります。

腸活が悪いわけではありません。
問題は、今の胃腸がそれを受け止められる状態かどうかです。

腸の動きが弱い。
胃酸や消化液が弱い。
便秘がある。
食後にすぐ緊張する。
睡眠不足が続いている。
小腸で発酵しやすい状態がある。

このような状態で腸に良いものを足すと、かえってつらくなることがあります。

SIBOをくり返さないためには、「何を足すか」より先に、「流れ」「消化」「排出」「休息」を整えることが大切です。

腸活で悪化する方は、努力不足ではありません。
順番が違っているだけかもしれません。


自律神経と睡眠は、胃腸の土台です

胃腸は、自律神経の影響を強く受けます。

緊張しているとき、焦っているとき、不安が強いとき、睡眠不足のとき、体は消化よりも防御や活動を優先しやすくなります。

食事中も仕事のことを考えている。
スマホを見ながら急いで食べる。
食後すぐに動き出す。
夜遅くまで起きている。
朝起きても疲れが残っている。
呼吸が浅い。
首や肩、背中がいつも硬い。

このような状態では、胃腸は落ち着いて働きにくくなります。

SIBOの対策というと、食事や菌の話が中心になりがちです。
しかし、胃腸が動くためには、自律神経が整っていることが大切です。

睡眠を整える。
食事中は少し落ち着く。
食後すぐに強い緊張状態へ戻らない。
呼吸を深くする。
軽く体を動かす。
背中やみぞおちの緊張をゆるめる。

こうしたことは、派手ではありません。
けれど、胃腸が働きやすい土台づくりとして、とても大切です。


便秘を放置しないこと

SIBOでは下痢のイメージを持つ方もいますが、便秘型の方もいます。
特に、メタンというガスが多いタイプでは、便秘と関係することがあります。

便秘が続くと、腸全体の流れが悪くなります。
ガスが抜けにくくなり、張りや下腹部の重さが強くなることがあります。

便秘がある方が食物繊維を急に増やすと、便通が良くなる前に、ガスだけが増えて苦しくなることがあります。
この場合、「食物繊維が悪い」のではなく、腸の流れが悪い状態で発酵材料を増やしすぎている可能性があります。

便秘を考えるときは、次のような点を見ます。

・水分は足りているか
・食事量は少なすぎないか
・脂質を極端に避けていないか
・朝のリズムがあるか
・便意を我慢していないか
・睡眠不足がないか
・ストレスで腸が止まっていないか
・薬の影響はないか
・甲状腺や糖代謝など、体の背景はどうか

便秘が強い場合、自己流で下剤やサプリメントを増やすより、まず医療機関での確認が必要なこともあります。

SIBOをくり返さないためには、出す力も大切です。
腸は、入れるだけでなく、流して出す臓器です。


栄養不足を立て直すことも、再発予防の一部です

SIBOや食事制限が長く続く方では、栄養不足が隠れていることがあります。

たんぱく質不足。
鉄不足。
亜鉛不足。
ビタミン不足。
良質な脂質の不足。
エネルギー不足。

これらがあると、胃腸の粘膜、免疫、自律神経、ホルモン、筋肉、血液を作る力が落ちやすくなります。

お腹が張るから食べない。
食べないから体力が落ちる。
体力が落ちるから胃腸が動きにくい。
また張る。

この悪循環に入ってしまう方もいます。

もちろん、食べればよいという単純な話ではありません。
消化力が落ちているときに無理に増やすと、かえってつらくなることがあります。

大切なのは、今の胃腸が受け入れやすい形で、少しずつ必要な栄養を戻していくことです。

やわらかく調理する。
よく噛む。
一度にたくさん食べない。
たんぱく質を少量から試す。
脂質を一気に増やさない。
食べたあとの反応を記録する。

SIBO対策は、減らすだけではなく、回復するための材料を入れていくことでもあります。


医療機関と連携した方がよい場合

SIBOが疑われる場合、医療機関では呼気検査や抗菌薬治療などが行われることがあります。
また、背景にある病気や薬の影響を確認することも大切です。

特に、次のような場合は医療機関での評価が優先です。

・血便
・発熱
・強い腹痛
・体重減少
・貧血
・夜間に目が覚める下痢
・嘔吐をくり返す
・便やガスが出ない
・急に悪化した腹部症状
・食事が取れないほどの不調
・脂肪便が続く
・原因不明の強いだるさ
・過去に腸の手術歴がある
・炎症性腸疾患や膵臓、胆のうの病気を指摘されたことがある

SIBOのように見える症状でも、別の病気が隠れていることがあります。
そのため、危険なサインがある場合は、セルフケアや食事調整より先に検査が必要です。

また、胃酸を抑える薬、抗菌薬、整腸剤、下剤、漢方薬、サプリメントなどについても、自己判断で増減しないことが大切です。

鍼灸整骨院でできることと、医療機関で確認すべきことを分ける。
これも、安心して不調と向き合うために大切な視点です。


もみの木治療院で大切にしていること

もみの木治療院は、神戸市北区で慢性的な不調をみている鍼灸整骨院です。
SIBOの診断や薬の処方を行う場所ではありません。

ただ、検査では大きな異常がないと言われたけれど、お腹の張り、ガス、便秘、下痢、胃もたれ、腸活で悪化する不調が続いている方に対して、体全体の状態を整理するサポートをしています。

お腹の張りがある方では、背中、首、肩、みぞおち、お腹まわりが強く緊張していることがあります。
呼吸が浅く、睡眠が浅く、体が常に緊張しているような状態では、胃腸は働きにくくなります。

鍼灸や体の調整では、筋肉や関節だけでなく、自律神経、呼吸、睡眠、体のこわばりにも目を向けます。
胃腸そのものを直接治すというより、胃腸が働きやすい土台を整えることを目指します。

また、米国 Kharrazian Institute で上級機能性医学認定を受けた院長が、胃酸、胆汁、膵液、腸の動き、FODMAP、食事、栄養、ストレス、睡眠、過去の感染や手術歴などを含めて、不調の背景を整理していきます。

SIBOをくり返さないためには、ひとつの方法に頼りすぎないことが大切です。

菌だけ。
食事だけ。
サプリメントだけ。
腸活だけ。
ストレスだけ。

そうではなく、体の中で何が重なっているのかを丁寧に見ていくことが大切です。


まとめ SIBOをくり返さないために必要なこと

SIBOをくり返さないためには、菌を減らすことだけでは不十分な場合があります。

小腸の動きを整える。
胃酸や消化力を見直す。
胆汁や膵液の働きを考える。
腸の通り道や手術歴を確認する。
食あたり後の腸の過敏性を見る。
低FODMAP食を出口のある方法として使う。
腸活を足す前に、胃腸が受け止められる状態を作る。
便秘を放置しない。
自律神経と睡眠を整える。
食事制限で不足した栄養を少しずつ戻す。

これらは、どれかひとつだけを行えばよいというものではありません。
その方の背景によって、優先順位は変わります。

SIBOは、単に「腸内環境が悪い」という話ではありません。
胃から小腸、大腸、神経、免疫、栄養、生活リズムまで関わる、体全体の問題として見る必要があります。

お腹の張りがあるから、さらに制限する。
ガスが出るから、さらに怖くなる。
食べられるものが減り、体力が落ちる。
この流れから抜け出すには、制限の先に回復を考えることが大切です。

この10回シリーズでは、SIBOの病態、腸の動き、胃酸、消化力、腸の通り道、食あたり後の不調、腸活で悪化する理由、FODMAP、食事制限の終わらせ方についてお話ししてきました。

お腹の不調は、気のせいではありません。
そして、あなたの努力不足でもありません。

今の体に合った順番で、胃腸が働きやすい状態を整えていくこと。
それが、SIBOをくり返さないための大切な一歩になります。


参考文献

ACG Clinical Guideline: Small Intestinal Bacterial Overgrowth

AGA Clinical Practice Update on Small Intestinal Bacterial Overgrowth: Expert Review

Small Intestinal Bacterial Overgrowth - StatPearls - NCBI Bookshelf

Small Intestinal Bacterial Overgrowth Recurrence After Antibiotic Therapy

Small Intestinal Bacterial Overgrowth: A Comprehensive Review

Order of FODMAP reintroduction - Monash FODMAP

Australia’s own Low FODMAP Diet going strong after 20 years - Monash University


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