【カチカチ・パンパン脚】筋肉だけが成長している?──成長期の「脚がパンパン」の正体とケア

筋肉だけが成長してる?

筋肉だけが成長している?──成長期の「脚がパンパン」の正体とケア法

「うちの子、練習後にふくらはぎや太ももがパンパンで痛いと言うんです」

スポーツを頑張る学生をみていると、こんな訴えをよく耳にします。

保護者の方からは「筋肉がついてきた証拠ですよね?」と聞かれることも多いのですが、実はそれ、筋肉が育ちすぎて、周りの組織が追いついていないサインであることが少なくありません。

これは、成長期の体にとってはごく自然な現象でもありますが、放っておくと慢性的な筋膜の硬化や循環不全につながり、パフォーマンスの低下やケガのリスクを高めてしまうこともあります。


成長期の体では「中身の成長」が先に起こる

成長期の身体では、発達の順番があります。

それはおおまかに次のような流れです。

1️⃣ 骨がまず伸びる
2️⃣ それに追いつくように筋肉が引き伸ばされ、肥大する
3️⃣ それを包む筋膜・腱・皮膚・血管などの“外側の組織”が最後に伸びる

つまり、中(筋肉)の成長スピードが外側を上回っているのです。

筋膜や皮膚はコラーゲンを主成分とする“硬い膜構造”で、伸びにくく、血流も乏しい。

筋肉が急激に発達すると、中から膨らむ風船を、伸びにくい袋で包んでいるような状態になります。

結果として、筋膜の内部圧が高まり、「パンパン」「突っ張る」「重い」「押すと痛い」という感覚が生まれます。

これが、いわゆる一過性の筋膜コンパートメント現象。

医学的に言えば「筋内圧が上昇し、血流・代謝が滞っている状態」です。

いわば、軽い“うっ血”と“代謝渋滞”が起こっているのです。


「筋肉疲労」とはちがう、筋膜圧の問題

トレーニングの翌日に感じる筋肉痛は、筋繊維の微細損傷と炎症が主な原因ですが、「ずっと張っている」「練習を減らしても治らない」というケースは、筋膜の硬化や滑走不全が関係していることが多いです。

筋膜は筋肉を包むだけでなく、神経・血管・リンパを通す“通路”でもあります。

この膜が硬くなると、血液や老廃物の流れが悪くなり、乳酸・水分・電解質が組織に滞留して“膨張”します。

つまり、表面から見ると筋肉が張っているように見えても、実際は「外側の膜が伸びきらない」「中の圧が抜けない」という構造的な問題なのです。


鍼灸・手技で「包む側」をゆるめる

こうしたケースでは、筋肉を強く揉むよりも、筋膜や皮膚の層をゆるめることが優先です。

鍼灸治療では、承山(しょうざん)・委中(いちゅう)・三陰交(さんいんこう)などで下肢後面の筋膜の緊張を整え、太衝(たいしょう)・内関(ないかん)で自律神経を調整し、局所の血流を改善して、筋膜内の圧を下げます。

このアプローチの目的は「筋肉を緩める」ことではなく、筋肉と筋膜の間に“滑走”を取り戻すこと。

さらに、軽い温熱や通電、カッピングなどを組み合わせると、微小循環が改善し、張りが取れやすくなります。

たとえば施術後に「脚が軽い」「靴が緩く感じる」という声が多いのは、内部圧が下がり、血流・リンパが正常化したサインです。


「筋肉を育てる栄養」だけでは足りない

現代のアスリート食では、タンパク質摂取に重点が置かれがちですが、
筋膜・腱・皮膚・血管といった“支持組織”の成長には別の栄養素が必要です。

〇コラーゲン合成を助ける主な栄養素

  • ビタミンC:コラーゲン合成の中心。筋膜・皮膚の柔軟性を保つ。
  • 亜鉛:組織修復、線維芽細胞活性。
  • 銅:コラーゲン架橋形成に必須。
  • シリカ(ケイ素):筋膜・腱・皮膚の弾力維持。
  • マグネシウム:筋肉の緊張を抑え、乳酸代謝を助ける。

これらが不足すると、筋肉だけが大きくなり、“包む側”が硬いまま。
結果、張りやすく、ケガをしやすい身体になります。

つまり、「タンパク質+ミネラル・ビタミンC」がセットで初めて“成長に耐えられる組織”ができあがるのです。


成長期に「張りやすい子」は伸びしろが大きい

実は、こうしたアンバランスは“悪いこと”ではありません。

体がどんどん変化しようとしているサインだからです。

問題は、その変化の波に体がうまく“馴染めていない”だけ。

だからこそ、鍼灸で流れを整え、栄養で支え、休養で回復を待つ。
この3ステップがとても大切です。

放っておくと、常にパンパンな状態が続き、フォームが崩れたり、外側ばかり使う筋の過緊張(例:外側広筋・腓腹筋外側頭)が癖になってしまいます。

逆に、早い段階でケアをしておくと、「脚が軽くなって走りやすい」「筋肉のつき方がきれい」といった変化が起こります。

これは、筋膜と筋肉のバランスが取れてきた証拠です。


まとめ:「育てる」と「包む」を同時に整える

成長期の“脚のパンパン”は、頑張りすぎた証拠ではなく、「身体のバランス調整が必要ですよ」というサインです。

筋肉の成長を助けるトレーニングも大切ですが、その力を支える“包む組織”──筋膜・皮膚・血管・神経──も同時にケアしていくことが、これからの成長をより健やかに、そして長く続けられるカギになります。

鍼灸では、体の深い部分の流れを整え、栄養では、筋膜をつくる材料をしっかり補う。

「鍛えること」と「整えること」。

この2つの両立が、成長期アスリートの未来を守ります。



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