【機能性医学】「寝ても疲れが取れない」――それは電池切れかもしれません

電池切れの体、増えています

「休んでも疲れが取れない」──それは“体の電池切れ”かもしれません

「ゆっくり休んだのに疲れが残る」「寝てもスッキリしない」「休みの日も体が重くて動けない」──

そんな声を、神戸市北区の当院にも毎日のようにいただきます。

このような“慢性的なだるさ”を感じている方の多くが言われるのが、「検査では異常なし」「年齢のせいですね」「ストレスでしょう」という、どこか納得しきれない言葉。

しかし機能性医学の視点から見ると、これは“体の中でエネルギーを作り出す力が落ちている”サイン、つまり「体の電池切れ」状態です。


エネルギーを作る「体の工場」──ミトコンドリアの働き

私たちの全身の細胞には、ミトコンドリアという小さな「発電所」が存在します。

食事から得た栄養(糖質・脂質・タンパク質)と、呼吸で取り入れた酸素を使って、ATP(アデノシン三リン酸)というエネルギーを作る場所です。

このATPが減ると、体のあらゆる機能が“スロー再生”になります。

筋肉は力が入らず、脳もぼんやりし、内臓の働きも落ちていく──

まるでスマホの省電力モードのように、「生きているけれど動きが鈍い」状態になるのです。


なぜエネルギーが作れなくなるのか?

ミトコンドリアの働きを弱める要因は、日常の中に潜んでいます。

ストレスの連続:副腎からコルチゾールが過剰に出続け、代謝や解毒が追いつかなくなる。

睡眠不足・夜更かし:ミトコンドリア修復が行われる「深い睡眠時間」が確保できない。

酸化ストレスと炎症:加工食品・糖質過多・トランス脂肪酸の摂取により、細胞が“焦げつく”ようにダメージを受ける。

栄養素不足:エネルギーを作るには、B群、マグネシウム、鉄、CoQ10、αリポ酸などが必要不可欠。これらが欠けると、燃料はあってもエンジンが回りません。


科学的にも確認されている「エネルギー産生の低下」

近年の研究でも、慢性的な疲労感や倦怠感を訴える人の多くで、ミトコンドリアの機能低下が報告されています。

Tomas Cら(Front Physiol, 2020)は、慢性疲労症候群(CFS)患者の筋肉細胞でATP産生が低下していることを発見。

Myhill Sら(Int J Clin Exp Med, 2009)は、血液中のミトコンドリア機能を分析し、疲労の重症度とエネルギー産生効率が比例して低下することを示しました。

Nicolson GL(Integr Med, 2014)は、ミトコンドリアの慢性的な機能不全が、疲労・免疫・神経・ホルモンバランスの乱れと密接に関わると指摘しています。

つまり、「気のせい」や「年のせい」ではなく、細胞レベルの機能低下が実際に存在するのです。


「眠っても疲れが取れない」人に共通する3つの特徴
朝の体温・血圧が上がらない

  • 副腎リズムが乱れ、コルチゾール覚醒反応(CAR)が鈍っている可能性。

昼過ぎに集中力が切れる

  • 血糖のコントロールが不安定で、エネルギー供給が途切れている。

夜になると頭が冴える

  • 交感神経が優位で、体は疲れていても“興奮モード”が続く。

これらはすべて、体のエネルギー生産と回復のリズムが崩れているサインです。


では、どうすれば「電池」を回復できるのか?

ここで大切なのは、「頑張って動くこと」ではなく「エネルギーを生み出す土台を整えること」です。

① 炎症を抑える食事に切り替える

  • 加工食品・小麦・精製糖・揚げ油を減らす
  • オメガ3脂肪酸(青魚・亜麻仁油)を意識的に摂取

② ミトコンドリアの材料を補う

  • マグネシウム・ビタミンB群・鉄・CoQ10・αリポ酸などを含む食事
  • サプリメントは必要に応じて個別に調整(機能性医学的評価が有効)

③ 質の良い睡眠とリズムの回復

  • 就寝は23時前を意識
  • 起床後すぐに朝日を浴びて体内時計をリセット

④ 副腎の休息を取り戻す

  • カフェインの取りすぎを減らし、昼寝や深呼吸で回復スイッチを入れる。

これらは一見地味ですが、細胞がエネルギーを作り直すための「再起動プログラム」です。


鍼灸・手技によるサポートも有効

鍼灸治療では、自律神経のバランスを整えることで、全身の血流と酸素供給を改善します。

特に、背部や腹部の施術は副腎・肝臓・消化器への血流を高め、体の代謝スイッチを“省エネ”から“回復モード”へ切り替える効果が期待されます。

実際に当院では、「週末も寝込んでいたのに、朝が楽になった」「昼の眠気が減った」といった変化を実感される方が少なくありません。


「年齢のせい」ではなく、「回路の問題」

多くの人が、「もう年だから」「働きすぎだから」と思い込んでいます。

でも実際は、体のエネルギー回路が“詰まっているだけ”のケースがほとんどです。

その回路を整え直せば、

  • 「朝スッと起きられる」
  • 「頭が冴える」
  • 「やる気が戻る」
    ──そんな日常を取り戻すことができます。

📚 参考文献
Tomas C, Newton JL, Watson S, et al. Aberrant mitochondrial function in patients with chronic fatigue syndrome: A review. Front Physiol. 2020;11:97.

Nicolson GL. Mitochondrial dysfunction and chronic disease. Integr Med (Encinitas). 2014;13(4):35–43.

Myhill S, Booth NE, McLaren-Howard J. Chronic fatigue syndrome and mitochondrial dysfunction. Int J Clin Exp Med. 2009;2(1):1–16.



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