【産後のお腹】「腹直筋離開」を放置するとどうなる? “お腹だけ”の問題ではありません

産後のマイナートラブルは腹直筋離開が原因

「腹直筋離開」を放置するとどうなる? ― “お腹だけ”の問題ではありません

出産後、時間がたってもお腹が戻らない。

でも、痛みもないし、日常生活はできている。

「そのうち自然に治るだろう」と思っていませんか?

実は、腹直筋離開(ふくちょくきんりかい)を放置すると、お腹の見た目だけでなく、体全体にさまざまなトラブルを引き起こすことがあります。

腹直筋は「体幹の中心」を担う重要な筋肉です。

そこにズレやゆるみが残ると、体の土台そのものが不安定になってしまうのです。


腹直筋離開とは、体幹の「柱」がゆるむ状態

腹直筋離開とは、妊娠・出産により、お腹の中央を縦に走る筋肉(腹直筋)が左右に引き離され、その間にある「白線(はくせん)」という結合組織が伸びてしまう状態をいいます。

この白線は本来、腹筋群と骨盤・肋骨をつなぎ、体幹を安定させる“中心の柱”です。

ところが、白線がゆるむことで腹圧(お腹の中の圧力)が維持できず、
体の中から支える力が低下します。

すると、見た目のお腹のふくらみだけでなく、背骨・骨盤・呼吸・姿勢といった全身の機能に連鎖的な影響が出てきます。


腹圧が崩れると何が起こるのか

腹圧とは、内臓や背骨を内側から支える“天然のコルセット”のようなもの。

腹直筋離開によりこの圧が下がると、体のバランスを保つ力が弱くなり、次のような症状が現れます。

  • 腰痛や股関節痛が慢性化する
  • 猫背や反り腰、姿勢の崩れ
  • 骨盤が不安定で、歩くときにぐらつく
  • 呼吸が浅くなり、疲れやすくなる
  • 尿漏れや臓器下垂など、骨盤底筋の不調

これらは単なる「産後あるある」ではなく、腹圧を支える構造が崩れた結果として起こっているのです。


研究が示す「放置リスク」

海外の複数の研究でも、腹直筋離開が長引くと体幹や骨盤底筋のトラブルにつながることが報告されています。

2018年のカナダの研究(Hills et al., Phys Ther)では、腹直筋離開を放置した女性は、腰痛・尿漏れ・骨盤底筋機能障害のリスクが有意に高いと報告されました。

また、オーストラリアのLee & Hodges(J Orthop Sports Phys Ther, 2016)は、腹直筋離開の程度が強いほど、腹横筋(コアの深層筋)の反応が遅れ、体幹の安定性が失われることを示しています。

つまり、筋肉の問題というよりも、神経と筋肉の“連携の乱れ(協調性の低下)”が本質なのです。


「腹筋すれば治る」は誤解です

多くの方が「お腹を引き締めるには腹筋!」と思い、クランチやシットアップを始めますが、これらは腹圧を前方に押し出し、離開を悪化させることがあります。

腹直筋離開を改善するには、次の3つが基本です。

① 腹横筋と骨盤底筋を再教育する

  • お腹を内側から支える深層筋を使い直す。
  • ドローインや骨盤底筋トレーニングが有効です。

② 呼吸を整える

  • 横隔膜をしっかり使い、腹圧を360度に広げるように呼吸します。
  • 呼吸は“腹圧のポンプ”です。

③ 姿勢と動作の見直し

  • 立ち方・座り方・起き上がり方など、日常の動作を整えることで、腹部への負担を減らせます。

当院の考え方とアプローチ(神戸市北区・もみの木鍼灸整骨院)

当院では、腹直筋離開を「お腹のゆるみ」ではなく、“体幹システムの乱れ”としてとらえています。

単に筋肉を鍛えるのではなく、神経・筋肉・呼吸・姿勢の連動を再構築することが目的です。

具体的には、

  • 骨盤・肋骨アライメント調整
  • 鍼灸による腹部筋膜リリース
  • 呼吸と姿勢の再教育
  • 腹横筋・骨盤底筋の再連動トレーニング
  • 栄養・ホルモンバランスのサポート
    を組み合わせ、体の中から「支え」を取り戻すケアを行っています。

患者さんの中には、出産から10年以上経ってから来院され、「ようやくお腹がへこんだ」「腰が軽くなった」と喜ばれる方も少なくありません。

体は年数が経っていても、正しい方向づけをすれば必ず応えます。


まとめ ― 体は“正しく使えば”回復する

腹直筋離開を放置しても、命に関わることはありません。

しかし、それを放置することで、体幹の安定を失い、腰痛・姿勢不良・疲労感・尿漏れといった「二次的な不調」を生み出すことがあります。

見た目だけを整えるのではなく、「機能を取り戻すこと」こそが真の回復。

体は、正しいサポートと動きを与えれば、何年経っていても必ず変わります。

📚参考文献
Hills NF et al. Phys Ther 2018;98(3):182–189.
「Diastasis recti abdominis: Review of treatment and clinical implications」
Lee DG, Hodges PW. J Orthop Sports Phys Ther 2016;46(7):580–589.
「Therapeutic exercise for abdominal wall rehabilitation in postpartum women」

🩺神戸市北区・三田市・西宮市で「産後のぽっこりお腹」「腹直筋離開」「骨盤の歪み」でお悩みの方へ。

もみの木鍼灸整骨院では、機能性医学×鍼灸×骨盤ケアで、“体の中から整う”産後ケアを行っています。

#産後ケア #腹直筋離開 #産後お腹戻らない #骨盤矯正 #神戸市北区 #鍼灸 #もみの木鍼灸整骨院 #機能性医学



メールでのご相談

 ご自身の症状について疑問があればメールを使ってご質問ください。メールでは、どんなセルフケアをしたほうがいいかなど、具体的な内容には答えられませんので、ご了承ください。

ご注意:ご相談には「確認ボタン」のあと「送信ボタン」を押していただかなければ、送信されませんのでご注意ください。


受付時間日・祝
午前(9:00 ~ 12:00)××
午後(16:00 ~ 20:00)××××


℡ボタン 「ホームページを見て」今すぐお電話ください

a:43 t:1 y:0