【産後骨盤矯正・産後ケア 専門家向け】産後の骨盤底筋とレーニングの有効性 ~三田市|西宮市|神戸市の整体・整骨・鍼灸~

骨盤底筋トレーニングは尿失禁に有効か?

骨盤底筋トレーニングを産後にしないなんて、ありえないでしょ!

当院は開院以来、20年の歴史があり、その中で「産後骨盤ケア」については、かなり力を入れてきました。

その中で群を抜いている分野は「骨盤底筋ケア」です。

この不可解な骨盤底筋のことを知れば知るほど、産後に骨盤底筋をケアしないなんてありえない!という気持ちになります。

この「知れば知るほど」というのは、何を「知れば」だと思いますか?

もちろん、世界の研究者が発表している論文です。

今回は以下の論文をご紹介します。

  • Pelvic floor muscle training in the prevention and treatment of stress urinary incontinence: an exercise-based approach:腹圧性尿失禁(SUI)に対する骨盤底筋(PFM)トレーニングの有効性とその基礎となる理論

【執筆者】水根健一:柔道整復師、鍼灸師、米国 Kharrazian Institute CFMC(機能性医学認定医)※米国資格であり日本の「医師」とは関係ありません


2004年に既に明らかにされていた!

この論文は、単なるPFMTの有効性の列挙にとどまらず、なぜ、そしてどのようにPFMTが機能するのかという、治療の根幹にあるメカニズムに焦点を当てています。

これは、臨床家がより効果的な治療計画を立て、患者が治療に積極的に取り組むための理解を深める上で非常に重要です。


論文の詳細

1. はじめに(Introduction)

  • 腹圧性尿失禁(SUI)が、特に女性の生活の質に与える深刻な影響について触れています。
  • PFMTが世界的にSUIの第一選択治療として推奨されている背景を説明します。
  • しかし、その有効性が広く認められている一方で、「なぜ」そして「どのように」PFMTが機能するのか、そのメカニズムについては十分に理解されていない点を指摘し、この論文の必要性を提起しています。

2. 骨盤底筋の機能解剖学(Functional Anatomy of the Pelvic Floor Muscles)

  • 重要性: PFMTを正しく指導し、理解するためには、骨盤底筋の解剖学と機能(特に尿道との関係)を深く理解することが不可欠であると強調しています。
  • 構造: 骨盤底筋群は、骨盤を底から支えるハンモックのような構造をしており、尿道、膣、直腸の出口を取り囲んでいます。特に、排尿をコントロールする外尿道括約筋や、骨盤内臓器を支持する肛門挙筋群(特に恥骨直腸筋)の役割が重要です。
  • 収縮の動き: 論文では、PFMの正しい収縮は「締め付け(squeeze)」だけでなく、「内側への引き上げ(lift or inward pull)」を伴うと説明しています。この引き上げ動作が、尿道を上方・前方に移動させ、尿道閉鎖圧を高める上で重要です。

3. PFMTの有効性の理論的根拠

  • A. 事前収縮(Pre-contraction / "The Knack")
    • 詳細: これは、腹圧が上昇する直前(あるいは上昇と同時に)に意識的に骨盤底筋を収縮させる技術です。例えば、咳をする瞬間にキュッと締めることです。
    • メカニズム: この素早い収縮により、尿道周囲の組織が持ち上げられ、尿道内圧が瞬間的に上昇します。この圧力が、腹圧による膀胱内の圧力上昇を上回り、尿の漏れを防ぎます。
    • 特徴: これは「スキル」であり、患者が意識的に学習し、実践する必要があります。トレーニングによって反射的な反応が促される可能性も示唆されています。
    • エビデンス: 一部の研究では、この事前収縮の教示がSUIの改善に寄与することが示されています。
  • B. 筋力増強と筋量増加(Strength Training and Increased Muscle Volume)
    • 詳細: 骨格筋と同様に、骨盤底筋も筋力トレーニングによって筋力と筋量(肥大)を増やすことができます。
    • メカニズム:
      • 静的な支持: 筋量が増えることで、尿道や膀胱頸部へのより強力な「静的な支持」が提供されます。これにより、腹圧がかかった際に、尿道が下降するのを防ぎ、尿道の抵抗が維持されます。
      • 動的な閉鎖: 筋力が向上することで、腹圧が上昇した際に、より強く、より効果的に尿道を締め付ける「動的な閉鎖」が可能になります。
      • 長期効果: 筋の形態学的変化(肥大)は、治療終了後も効果が持続する可能性を示唆しています。
    • エビデンス: 筋電図や超音波画像診断などを用いて、PFMT後の骨盤底筋の筋力や厚みの増加が報告されています。
  • C. 神経筋機能と形態の変化(Neuromuscular Function and Morphological Changes)
    • 詳細: この理論は、単なる筋力の問題だけでなく、神経と筋肉の協調性、反応時間、そして筋線維のタイプ(速筋と遅筋)の変化にも着目します。
    • メカニズム:
      • 運動学習と制御: PFMTは、脳から骨盤底筋への神経経路を強化し、より正確で効率的な筋収縮を可能にします。これは、SUI患者の骨盤底筋の協調運動の障害を改善する可能性があります。
      • 筋線維タイプ: 骨盤底筋には持続的な収縮を担う遅筋線維と、素早い収縮を担う速筋線維の両方が存在します。PFMTは、これらの筋線維の割合や機能に影響を与え、特に速筋線維の反応性を高めることで、急な腹圧上昇に対応できるようになると考えられています。
      • 反射の改善: PFMTにより、咳反射などに対する骨盤底筋の自動的な収縮反応が改善される可能性も示唆されています。
    • エビデンス: 筋電図(EMG)バイオフィードバックを用いた研究などで、骨盤底筋の活動パターンや反応時間の変化が観察されています。

4. 臨床への示唆(Clinical Implications)

  • 個別化された治療: 各患者の尿失禁のタイプ、重症度、PFMの機能評価に基づいて、トレーニング内容を個別化することの重要性を強調しています。
  • 適切な指導: 患者が「正しい」方法で骨盤底筋を収縮させることの重要性。視覚的(バイオフィードバック、超音波)、触覚的、あるいはデジタル触診などによるフィードバックの活用が有効です。
  • 継続性: PFMTは継続が重要であり、患者のモチベーション維持や、日常生活への組み込みのサポートが不可欠です。

この論文の貢献

Bøのこの論文は、PFMTの有効性を単なる経験則としてではなく、生理学的・解剖学的・神経学的根拠に基づいて説明しようとする試みであり、その後のPFMT研究や臨床実践に大きな影響を与えました。

これにより、PFMTはより科学的でエビデンスに基づいた治療法として確立されることになりました。

この論文は、PFMTが単一のメカニズムで機能するのではなく、上記の複数の理論が複合的に作用することでSUIの改善につながる可能性を示唆しています。


当院の施術者のレベル

当院では、上記のような研究論文に日々目を通しており、今の改善点はないか、一人ひとりの違いを把握しているか、改善は進んでいるかなど、考える材料の一つとして論文を利用しています。

ですので、業界でもトップランナーに近いレベルの施術サービスをご提供していると自負しています。

このことを言いかえると、国家資格の柔道整復師や鍼灸師といったレベル枠をはるかに超えた施術をご提供していると言えます。

もし、高水準の施術をご希望の方は当院へお越しください。納得されること間違いありません。



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