【産後骨盤矯正・産後ケア:専門家向け】当院がご提供している骨盤矯正の「統合モデル」とは ~三田市|西宮市|神戸市の整体・整骨・鍼灸~
産後の骨盤をケアしたら戻らない理由:ダイアンリー先生の「統合モデル」
当院は2016年の開院以来、女性特有の健康課題、特に骨盤底筋の機能に着目し、その研究と臨床応用を深めてまいりました。
そのキッカケとなったのは、世界的に有名な骨盤研究のフィジオセラピストでいらっしゃるダイアン・リー先生です。
彼女の研究に基づいた臨床応用は素晴らしいものがあり、当時の疑問がウソのように瞬間に晴れたのを、いまだに鮮明に覚えています。
その彼女の理論の一つ、「フォームクロージャ―とフォースクロージャ―」という仙腸関節安定性理論をご紹介します。
これは当院の臨床にもふんだんに取り入れられている理論です。
【執筆者】水根健一:柔道整復師、鍼灸師、米国 Kharrazian Institute CFMC(機能性医学認定医)※米国資格であり日本の「医師」とは関係ありません
ダイアン・リー氏の骨盤の安定概念:フォームクロージャーとフォースクロージャー
カナダの理学療法士であるダイアン・リー氏は、骨盤、特に仙腸関節(SIJ:Sacroiliac Joint)の安定性に関する研究と臨床実践において、世界的に著名な専門家です。
彼女は、骨盤の安定性を理解するために、「フォームクロージャー(Form Closure)」と「フォースクロージャー(Force Closure)」という2つの重要な概念を提唱し、これらを統合した「統合モデル(Integrated Model of Function)」を提唱しています。
このモデルは、腰痛や骨盤帯の痛みの評価と治療に大きな影響を与えています。
フォームクロージャー(Form Closure):構造による安定性
フォームクロージャーは、骨盤の骨の形状、関節面の適合性、および靭帯の張力といった受動的な要素によって得られる安定性を指します。
これは、追加の筋肉の活動を必要とせず、骨盤が静止している状態での安定性を提供します。
仙腸関節におけるフォームクロージャーの具体例:
- 骨の形状の適合性: 仙骨と腸骨の関節面は、単に平らな面が向かい合っているわけではありません。仙骨の関節面は凸状で、腸骨の関節面は凹状になっており、互いにかみ合うような複雑な形状をしています。この「自己ロッキング機構(self-locking mechanism)」とも呼ばれる形状が、関節の滑りやずれを物理的に制限し、安定性を高めます。特に、仙骨の楔形(くさびがた)の形状が、体重がかかることで腸骨の間に深くはまり込み、より安定するという考え方があります。
- 強靭な靭帯: 仙腸関節は、非常に強靭な靭帯によって補強されています。
- 骨間仙腸靭帯(Interosseous Sacroiliac Ligament): 仙骨と腸骨の間に深く位置し、仙腸関節の最も強力な靭帯とされています。関節面を密着させ、垂直方向の安定性に大きく寄与します。
- 短後仙腸靭帯(Short Posterior Sacroiliac Ligament): 仙骨の後面と腸骨を結び、関節の後方からの安定性を補強します。
- 長後仙腸靭帯(Long Posterior Sacroiliac Ligament): 仙骨と腸骨稜を結び、仙骨の過度な前方回転(ニューテーション)を制限します。
- 仙結節靭帯(Sacrotuberous Ligament)と仙棘靭帯(Sacrospinous Ligament): これらは仙骨と坐骨を結び、仙骨の安定性をさらに高めます。
- 関節包の張力: 仙腸関節を覆う関節包も、その張力によって関節の安定性に寄与します。
これらの要素が複合的に作用し、骨盤は重力や身体の動きに対して、ある程度の安定性を保つことができます。
フォームクロージャーは、骨盤の基本的な構造的完全性を示すものであり、その破綻は重度の不安定性につながる可能性があります。
フォースクロージャー(Force Closure):能動的な力による安定性
フォースクロージャーは、筋肉の活動、筋膜の張力、およびその他の能動的な力によって得られる安定性を指します。
これは、身体の動きや負荷の変化に応じて、骨盤の安定性を動的に調整するメカニズムです。フォームクロージャーだけでは対応できないような、より大きな負荷や複雑な動きの際に、フォースクロージャーが重要になります。
仙腸関節におけるフォースクロージャーの具体例:
フォースクロージャーは、主に以下の4つの筋膜スリング(筋の連結)が協調して働くことで実現されます。
- 縦方向システム(Longitudinal System):
- 多裂筋(Multifidus): 脊椎の深層に位置し、仙骨に付着する繊維も持ちます。仙骨の動きを微細に制御し、仙腸関節に圧縮力を加えることで安定性を高めます。
- 仙結節靭帯(Sacrotuberous Ligament): この靭帯と連結する**大腿二頭筋(Biceps Femoris)**の長頭が収縮することで、仙骨に張力が伝わり、仙腸関節の安定に寄与します。
- 脊柱起立筋(Erector Spinae): 脊椎を伸展させる筋肉で、仙骨や腸骨にも付着し、体幹の安定に貢献します。
- 後斜め系システム(Posterior Oblique System:POS):
- 広背筋(Latissimus Dorsi)と対側の大殿筋(Contralateral Gluteus Maximus)が、胸腰筋膜(Thoracolumbar Fascia)を介して連結しています。例えば、右の広背筋と左の大殿筋が同時に収縮すると、胸腰筋膜に張力が生じ、仙腸関節に斜め方向の圧縮力が加わり、安定性が向上します。これは、歩行時など、片足に体重がかかる際に特に重要です。
- 前斜め系システム(Anterior Oblique System:AOS):
- 内腹斜筋(Internal Oblique)、外腹斜筋(External Oblique)、そして対側の内転筋群(Contralateral Adductor Muscles)が連結しています。これらの筋肉が協調して働くことで、骨盤前面に安定化の力を生み出します。
- 深部縦方向システム(Deep Longitudinal System):
- 腹横筋(Transversus Abdominis): 腹部の最も深い層にある筋肉で、コルセットのように腹部を締め付け、腹腔内圧を高めることで体幹全体、特に骨盤の安定に大きく貢献します。
- 骨盤底筋群(Pelvic Floor Muscles): 骨盤の下部を支える筋肉群で、腹横筋と協調して収縮することで、仙腸関節の安定性を高めます。
- 横隔膜(Diaphragm): 呼吸筋でありながら、腹横筋や骨盤底筋群と連動して腹腔内圧を調整し、体幹の安定に寄与します。
これらの筋肉や筋膜が、身体の動きに応じて最適なタイミングと強度で収縮することで、仙腸関節に必要な圧縮力を加え、安定性を保ちます。
統合モデル(Integrated Model of Function)
ダイアン・リー氏は、骨盤の安定性はフォームクロージャーとフォースクロージャーが独立して機能するのではなく、相互に作用し、補完し合うことで実現されると強調しています。
彼女の「統合モデル」は、以下の4つの要素が骨盤の最適な機能に不可欠であると提唱しています。
- フォームクロージャー(構造): 骨、関節、靭帯の完全性。
- フォースクロージャー(筋膜の作用による力): 筋肉の活動と筋膜の張力。
- モーターコントロール(運動制御): 負荷がかかる際の筋肉の活動のタイミングと協調性。これは、脳と神経系が筋肉の活動を適切に制御する能力を指します。
- 感情(Emotions): 心理的なストレスや感情が、筋肉の緊張や運動制御に影響を与え、骨盤の安定性にも影響を及ぼす可能性があるという視点。
この統合モデルに基づき、ダイアン・リー氏は、腰痛や骨盤帯の痛みの評価と治療において、単に関節の可動域や筋肉の筋力だけでなく、これらの要素がどのように機能しているかを総合的に評価し、個々の患者に合わせたアプローチを行うことの重要性を強調しています。
例えば、フォームクロージャーに問題がある場合は、関節のモビライゼーションや安定化ベルトの使用が検討される一方、フォースクロージャーやモーターコントロールに問題がある場合は、特定の筋肉の再教育や運動パターンの修正が治療の中心となります。
ぜひ仙腸関節、骨盤に関するお悩みは当院へ!
当院は、単に一時的な痛みの緩和だけでなく、骨盤が本来持つ安定性と機能を取り戻し、患者様ご自身が長く健康な身体を維持できるようサポートすることを最も重要な使命と考えています。
ダイアン・リー氏の深い洞察に基づく質の高いケアを通して、皆様の健康的な生活への貢献をお約束します。
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