お腹が裂ける(お腹が割れる)腹直筋離開、そのパターン知っていますか? ~三田市 | 西宮市 | 神戸市の整体・整骨・鍼灸~

腹直筋離開、開くパターン知ってます?

腹直筋離開って、研究現場でも分かっていない

 みなさん、お腹がぽっこり出た状態(妊娠や超肥満など)になると、お腹の前側にある「腹直筋」が真ん中で離れてしまう(離開)のをご存じでしょうか?

 これは腹圧調整に影響を与えるとして、産後の腹筋運動はダメですとか、産後はインナートレーニングをしましょうとか、いろいろ言われています。

 が、最新の研究では「よく分からない」というのが本音で、もっとたくさんの研究資料がなければ判断できない状態です。

 ですので、YouTubeやSNSなどで「腹直筋離開のエクササイズ」を紹介している動画などがたくさん見受けますが、最新研究でさえもエビデンスがないので、みなさんは見様見真似で行わないでください。

エコー描出による腹直筋離開の解剖学的パターン

 今回の論文は2019年12月の「エコー描出による腹直筋離開の解剖的パターン」です。リンクは以下の表題をクリック!

Diastasis of Rectus Abdominis Muscles: Patterns of Anatomical Variation as Demonstrated by Ultrasound
Antonio Corvino, Dario De Rosa, Carolina Sbordone, Antonio Nunziata, Fabio Corvino, Carlo Varelli, Orlando Catalano
Affiliations expand
PMID: 32082453 PMCID: PMC7016498 DOI: 10.5114/pjr.2019.91303

検査機器と方法

Material and methods: In a one-year period 92 women were evaluated with US because of suspected diastasis of rectus muscles. Patients were examined in a supine position, with head extended, upper limbs aligned to the trunk, and knees flexed. US was performed with high-frequency, broad-band transducers. Trapezoid field-of-view and extended field-of-view were employed to measure diastasis exceeding 5 cm. Diastasis was defined as a margin-to-margin distance > 20 mm at rest and classified according to the following anatomical patterns: open only above the navel, open only below the navel, open at the navel level, open completely but wider above the navel, and open completely but wider below the navel.

検査機器と方法:1年間で女性92人が腹直筋離開の疑いがあったので評価した。患者は仰臥位で、頭部は伸展、両上肢は体幹に添わせて、膝は曲げた状態で行われた。超音波は高周波プローブを用いた。台形の視野と拡張視野が5㎝を超える離開を測るのに用いられた。安静時に端から端が20mmを超えるものを以下の解剖学的パターンに従って離開と定義した。

・臍の直上の離開
・臍の直下の離開
・臍高位の離開
・臍上優位の完全離開
・臍下優位の完全離開

調査結果

Results: Diastasis was found in 82 patients (30-61 years old, mean age 35 years). The width was 21-97 mm, mean 39 mm. The prevalence and severity of the anatomical patterns was as follows: open only above the navel in 48 patients (21-88 mm, mean 40 mm), open only below the navel in one patient (33 mm), open at the navel level in seven patients (23-39 mm, mean 34 mm), open completely but wider above the navel in 24 patients (21-97 mm, mean 41 mm), open completely but wider below the navel in two patients (21-29 mm, mean 25 mm).

結果:年齢30~61歳(平均35歳)の82人に離開が見つかった。離開幅は21~97ミリで平均39ミリだった。解剖学的パターンの有訴率と重症度は以下の通りであった:

・臍直上の離開は48人(21~88mmで平均40mm)
・臍直下の離開は1人(33mm)
・臍高位の離開は7人(23~39mmで平均34mm)
・臍上優位の完全離開は24人(21~97mmで平均41mm)
・臍下優位の完全離開は2人(21~29mmで平均25mm)

調査の結論

Conclusions: The above-navel patterns of recti muscle diastasis are the most common. Even when open completely, diastasis is usually wider above the navel. Knowledge of the anatomical type of rectus muscle diastasis could be of value to the patient (exercises to do and to avoid) and to the surgeon (abdominoplasty planning).

調査の結論:臍直上パターンが最も多い。完全離開していても、普通は臍上の離開が大きい。腹直筋離開の解剖学的パターンが分かると患者(するべきエクササイズと避けるべきエクササイズ)や外科医に有益だろう。

感想

 当院でもエコー描出で腹直筋離開を調べますが、やはり臍上の離開幅が一番多いですね。その辺りにエクササイズのヒントがあると思います。

  インターネットで腹横筋を鍛えると離開幅は狭くなると言う人がいますが、実際はその逆で離開幅は開くのを知っていますか? ちゃんとエコーで検査をしたら分かります。

 なぜクランチ運動をすれば「腹直筋離開が悪化する」というSNSやYouTubeが増えたのかというと、離開幅を調べるのに裂け目にテンションがかからないと触診で離開幅が分からないからです。

 ですので、クランチ運動をすると白線にテンションがかかって離開幅がはっきりと触診できます。そこでクランチ運動は「離開を悪化させる」という短絡的な考えになったと思います。しかし、腹筋群の走行を考えるとそんなことはあり得ないということが分かります。

 ですので、最新研究でもはっきりとしたコンセンサスが得られていないので、巷にある情報には振り回されないように、くれぐれもご注意を!

 さらに、この業界(代替医療と定義されている業界)は医科と比べて劣るという現状があります。何に劣っているのかというと、学問の成熟度、医業を行う者のIQレベル、環境などにおいて不利ではあります。だからがゆえに、同業者の方々もこのブログに目を通してもらい、ソフト面で業界全体のレベルを上げていければいいと考えています。

 臨床家の方々はせめてこのブロブに書かれているレベルの知識は最低限頭にいれて産後女性のお身体を扱っていただきたく思います。

 もちろん、人間性や人間力は劣るとは思えませんので、悪しからず。


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